専門を決める過程

ひとつの例として外科について考えてみましょう。臨床実習の際には、医師とともに受け持ちの担当患者さんがいて、毎日診察をしてカルテを書くなど、リアルな実地訓練をおこないます。このとき、外科であれば自分の担当患者さんの手術にも入ります。手術に参加し、手術の雰囲気や、外科医の手つきなどを見学をするのです。外科の手術は立ちっぱなしであり、それが3、4時間続くことが当たり前です。お昼ごはんが食べられないこともしょっちゅうあります。だいたい見学している学生は足が痛くなります。そして、お腹も空いてきます。このようにとても体力が奪われるのです。ここで体力に自信のない学生は、「自分には体力勝負である外科は向かないな。やめておこう」と判断するのです。そして手術を見学してその細かい作業を目の当たりにして、「こんな細かい作業は自分には無理だ。自分は手先が不器用だし、手術には向いていないな」と思う学生も外科を将来の自分の専門候補から外していきます。さらに、外科医のカンファレンスは厳しいことが多く、若手が上司から罵声を浴びせられるシーンを目の当たりにしたりもします。すると「外科の手術はやってみたいけど、上司があんなに怖いならやめとこう」と、また除外していきます。このような実習を経て、それでも外科を選択した学生は、もはやみな似ています。肉体的にタフで、精神的にはややマゾヒスティックで、上司に従順な人たちです。 だいたい男性で、学生時代は体育会系の部活に所属し、活発で酒も好きという似たようなキャラクターが多くなるのです。もちろん例外の人もいます。